紅蓮のゆうび’s Diary

役に立つ、読みやすい、ように努めるただの日記。

11 ミア・フォーマット

 

 

 

 

 

 

 

錆びたアパートの階段を登っていく

確か大家さんがそろそろペンキ塗りたてるって言っていたな

 

「人のことは大切に想わないが、アパートの事は大切に想う」のが大家さんだ」

 

クソみたいな名言を心の中で生みながら俺は鍵を差し込み玄関を開ける

 

「ただいまー」

 

 

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その入ってきた景色に俺は戦慄を受ける

 

めっちゃ部屋散らかされている

泥棒か……と周りを警戒し息をひそめたところである物体が目に留まる

お菓子とかひどい散乱ぶりだ、じゃなくて……

 

「「少女が一人、俺のベットで勝手に寝てやがる」」

 

貧相な仮説を立てるのであればこの惨憺たる部屋の荒れ具合も全てこの少女のせいにしてもまず大丈夫であろう

 

「はぁー」

 

もしかするとなんかの組織の罠かもしれないなんて中二病心と一抹の不安を感じつつ俺は部屋を片付けていく

 

もちろん片付けにはこの少女という問題の片づけも含まれている

できれば関わりたくないんですけどこんな形容もしがたい状態の女の子を

それは奇怪な格好をしていた

奇妙というよりはこの現代では似つかわしくないような恰好

身長は140センチといったところか

その体躯に水色を基準としたタイトな服にベルトやらバンドやらよくわからないものが色々と巻き付いている

 

TMの人って言ったら双方に失礼な気がするけど

おれが真っ先に思いついたのはそんな感想であった

 

といいつつ

現実逃避はやめて彼女を起こす

 

「おーーい、おきろー」

 

軽く肩をトントンと叩く

決して強くやっていないし、その位置は適切だったと言い訳させてもらう

 

「んぅ……っは!」

 

少女は目覚めがいい方であった

ただその事象が吉なのか凶であるのかは俺にはさっぱりわからない

例え遅かったとしても早かったとしても俺の未来は変えられないものだと思うから

というか別に寝起きなんてどうでもよかったのかもしれない

 

この場合は相手が悪かったとしか言いようがない

自分を棚に上げて相手のせいにするのは俺の専売特許であるが

今回ばかりは「俺は悪くねぇ」と声を大にして主張させていただきたい

 

「ぐhhっはぁ!!」

 

次の瞬間とかじゃない

気が付いたら壁に叩きつけられていた

 

あんまり痛みが無いのは、決して重傷だから、ではないからだと願う

なんとか酸素を探して吸い込む「っはぁあっ」

 

「残念だったね! ミアに手を出そうなんざ百億光年早いんだ!」

「それ……時間じゃなくて距離ぃ……」

 

その発言にも驚いたが

 

次に驚くのは彼女から、みそら色の幕がじんわりと張られていくことだ

その範囲は次第に広まり、俺の一歩手前までその色は染まる

 

常識的に考えれば、バリア張られたってことかなぁ……

普通にショックなんだけど

警戒されないために肩を、それもなるたけ優しく叩いたのに

こんな仕打ちってないよ

 

なんなんだ

 

「きて! ミアの子たち!」

 

ついでに空間を切り裂きながら雷を発生させ、銃みたいなものをいくつも出現させていく

 

ジバン!ジバン!ジバンと音を立てながら現れたのは3丁、俺はよくしらねぇけど言葉を借りるならSVDとリボルバー0式、そしてふつうのAKっぽいかたちをしたやつが三つ

 

俺の部屋で

 

銃口はもちろんすべてがどういう理屈か宙を浮きながらこちらを向いている

しかして、俺は殺されるかもしれない可能性を秘めている相手に向かってやたら冷静であった

 

いや冷静というには語弊があるな、その説は興奮寝覚めぬ様子であった

今思えば現実味のない状況に脳がマヒしていたのであろう

冷静だったらこんな能天気な発言は絶対にしない

 

あるいは生存本能の、御業がだせる能力か

 

「うわぁ、カッ……いいじゃんか」

 

その言葉がこの雰囲気の最後であった

 

「え?」

 

相手方の表情が一瞬にして変わる

 

「……あ、ごめんなさい」

 

やっと我に返る俺

ていうか不法侵入者に対してなんで俺が犯罪者みたいな扱いされないかんの?

とか文句を言っている場合ではない

 

「いま、ミアの子共達をかっこいいって……」

「子供たち? あ、うん、いいと思う……」

 

いやだってガシャンやで? かっこいいに決まってる

変形と異界とトランスフォームとガンソードはいくつになっても魅了止まないものだ

 

「じゃぁじゃぁ、こういうのは!」

 

いいながら手を上にあげて

何もない手の上から空間を切り裂いてデッカイ剣みたいなのが雷を放出しながら出てくる、銃の三丁は静かに粒子となって消えていった、どういう原理やねん

 

「うはー、かっこいぃ」

「ホント!?」

 

少女はさっきまでの憎悪はどこへ行ったのか剣をカチンとキャッチすると得意げに構える

 

「あ、ごめん、部屋の物は傷つけないでね……」

「えー、わかった……」

 

しぶしぶといった様子で受諾してくれる少女

ごめんね急に冷めたことを言って

本当に大家さん恐いんだよ

 

「え、これも浮かせられるの?」

 

先ほど瞬時に出現したガン(銃)同様

目の前の大剣も浮遊させることができるらしいようだ

 

「そーだよ! これくらいのものを浮かせられるのはミアくらいなんだよ!」

「いやマジですげぇーな」

 

これがたとえ子供特有のみえっぱりだったとしても俺にはそれを確認する方法は無いから素直に驚くほかない

 

「えっへん!」

 

得意げな様子で……

とりあえず助かったぁ……ということでいいんだよね

 

「……君は、それでどうしてここへ?」

「あーそうだった! じゃなくて」

 

「でも違うよ!」といって『キッ』と睨まれる

銃も再び出現し、全て俺の方へ向く

 

地雷を踏んだのかもしれない

せっかく一度はよい塩梅にまで抑えれたのに何をやっているのか俺

 

ひやぁ……改めてこの恐怖を体感

さっきは麻ひしていて全然感じなかったけど、これ本当に怖いやつやん

 

本当に弾丸や電磁が出るかは関係ないものなのだ

目の前で口を向けられている

それだけで人間に刻まれている恐怖心という者は震え上がるのである

 

「ミア・デルタ・エキスマキナ」

「え?」

 

とうとう魔法系か?

 

「名前! ミア! 君じゃない」

 

ああぁ、そういうパターンか……

 

「呼び捨てでいいのかな?」

「うん」

「ミアね」

「はい!」

 

ここでやっと銃口が下がる

ウィゥといって一斉に五個以上あるガン(銃)が下がるのは見所である

命の危機に面していなかったらの話であるが

 

一命を取り留めたと思っていいのかな

拝啓どこにいるかわからない義兄弟達よ、俺はなんとか生き残ったぞ

 

もうしゃべらないとこ

口和災いのもとということである

 

「お兄ちゃんは?」

「っへ?」

 

素っ頓狂な声が出た

 

「名前!」

「あぁ! イツハ、イツハ・イガワだよ!」

「イツハ! イツハ! 変な名前ー!」

 

ミアは随分しっくりくる名前だね

 

まったく

銃と剣さへ所持していなかったら普通の可愛い幼女だというのに

 

やめよやめよ

こんなこと思っているとまた殺されちまう

 

、、、

 

それから15分と喋ってみると、ミアちゃんは意外と話の分かる子であった

いやマジでこれが普通だと思ってはいけない

世の中何があるのかわからないのだから

こんな些細なことに関しても感謝しておかなければ……

 

「あざっす……」

 

ともあれ今は彼女について



「ほんとうにごめんなさーいっ」

 

この謝罪は早とちりして俺をぶっ飛ばして背中を痛めさせた件についてと

 

「いや、別にいけど」

 

まぁよくはないんだけど

それは流石に大人げない

 

ポテチやチョコレートを勝手に食べてた件について

 

とりあえずあらぬ誤解は解けたということで満足しておく

 

「ここはイツハのお家だったんだね、てっきり敵かと思って」

「あぁ、そうですか……」

「それにお菓子も結構食べちゃって」

 

結構じゃなくて全部じゃね? 

もともと多くはなかったからいいけど

 

「ちゃんと歯ぁみがけよ」

「うん? 忘れずにするー!」

 

今では銃も拳銃も剣も全て仕舞ってもらって俺たちはちゃぶ台越しにのんびりと会話している

彼女はなんか違う世界の人間らしかった

聞いた感じだとここよりももっと文明が発展しているらしい世界からきたとか…

 

ただあまり豊かではないそうだ

そのサブ要素として食文化にはあまり力は入れらていないらしく、この通り宝石のように写ったであろうお菓子たちを平らげてしまった様子

 

いわく「この袋みたいなの開けるの難しかったー」らしい

 

そういうところは年相応……

そういえばミアちゃんはいったい幾つなんだろう、年齢はまだ聞いていないな

というか聞いても殺されないよな?

レディに年齢を聞くのは失礼とよく聞きするが……

 

ちなみにお菓子が食料品であるという事実は彼女が持っているというメガネみたいなので調べたらしい

そして俺たちの間で言葉がなんなく交せれるのは彼女が首につけている機械のおかげといっていた

 

「ミアちゃんて聞かれたら困ることって、あったりする?」

「ちゃん?」

「うわぁあごめんごめん、愛称みたいなもの」

「えー、それ気に入った! もっと呼んでー」

 

あっぶねぇ、勢い余って『ちゃん』付けしちゃったよ

時と場合によれば怒られてたかもわからんのに

 

もっと慎重にいこうぜ俺

 

「あぁ、それで――」

「聞かれてこまることなんてないよ。お菓子? 食べちゃったし」

 

ん、お菓子食べちゃった代わりになんでもこたえるという事?

交換条件ということでいいのか

しかし本当に答えたくないことがあったら答えたくないといってもらいたいものだ

さっきから一応対等でいようとはしているが、武器が脳裏にチラつく

 

「じゃぁいくつか聞いてもいい?」

「なんでも聞いてー!」

「違う違う、歳がいくつか教えて?」

「年齢ー?」

 

俺は頷く

ミアは手を前に突き出して指を折る

どうやら指で年齢を表現してくれるようだ

 

そういえば指は十本あるんだなぁちゃんとなんて思いながら

 

そしてこれで俺と同い年だったら笑う

しかしそんなことはなかった

なぜなら彼女が示した数字を俺は

 

理解できなかったからである

 

「え? なにそれ二歳?」

 

ミアは右手を前に突出し中指と人差し指を立てている

つまり俺から見て右側の手

 

どう考えてもピースサインにしか見えない

 

「あはははは!! 二歳なわけないじゃん」

 

小さな子特有の無邪気な笑顔を向けてくるミア

今はそれがものすぉい煽られているように感じる

 

「え? え、わからない」

 

「数の数え方もわからないのーぉ」とニヤニヤのミア

「やかましいわ」と俺は心の中で呟く

そう心の中で

 

奇跡的なひらめきが起きる(あは体験)

ああ! これって噂の一進数ってやつか!

あ間違えた二進数か

 

「ちょっとかしてみてー!」

 

彼女はこちらによってきて俺の手を取って数の数え方を手で教えてくれる

 

その行為に俺は不覚にもドキッとする

もちろん私はロリコンではないので

そういった意味でドキッとしたわけじゃない

 

たださっきの背中の痛みが未だ現役で響いているだけなんだきっとそうなんだ。

 

今はまあそんな痛くはないけど記憶が

 

「えっと……」

「それでこれが十で、これが十一、でミアが十二!」

 

全部指のおりかたから数え方まで本当に全て教えてもらったのにほとんど分からなかった

 

分かったのは薬指と中指を同時に立てようとすると痛いという事と

四は中指を立てればいいという事だけ

 

「えっと……」

「わかった?」

「うん……」

「よかった!」

 

つい嘘をついてしまった

いたいけな少女に嘘をついてしまった

きっとこの罪はデカイ

 

するとミアの首元が少しだけバイブレーションする

 

「なにいまの?」

「イルピッツァの充電が無くなってきたみたい」

 

なにそれ、おいしいの?

 

「えっと……そうなんだ」

「あーあー、やっぱりイルピッツァよりイルベータの方がよかったかもー」

「えっと……そうなんだ」

「そういえばイツハ、イルピッツァとか持っていないよね」

「えっと……え? あぁ、うん」

「どっかにやっちゃったのー?」

「え? あ、うぅん」?

「もぅ、ちゃんと聞いててよ」

「あぁ、すんません」

 

怒られた

 

「今度イツハように持ってくるねぇー! 充電器ある?」

「いやいらないよ……充電器?」

 

そんな急に言われても、スマホのとかでいいのかな?

 

「そんなんじゃだめだよ! もっと大きいの!」

 

根本的には間違っていないのか大きさを求められる

こういうのって製品によって違うんじゃないのかなぁ

何が違うのかって聞かれても困るけど

 

俺はしぶしぶ学校から支給された使っていないPCを引っ張り出してくる

宝の持ち腐れだよ

 

「これは……無理だよね?」

 

ダメもとで聞いてみる

 

「あーー、それ見せて!」

これでええんかい、なんとかなるのかもしれない。いやでも何もない空間からガン出してくるような文明だからなぁ

 

彼女は胡坐をかいてそのパソコンを、懐から取り出したメガネで何秒か見つめた後に解体し始める

 

「あーあー」

 

いや一言、ことわり言えよ。教授に百怒られる。「解体するね!」とかないわけ。

 

どうせ使ってないからいいけど……

 

「……どう?」

「……」

「みやっー?」

 

あら集中モードに入っちゃったみたい

職人さんみたいだな

 

俺集中して人の声が聞こえなくなる人初めて見たよ

今ならその綺麗な体とかさわっても気づかれなかったりして

 

……もちろんやらんですけど

 

やることもないので席をたって冷蔵庫の中身を見に行こうとしたところで

 

「古ーーーーーい!」

 

と楽しそうな声がひびくのであった

 

「あらそう」

 

冷蔵庫の中を確認して今日の献立を考える

そういえばお菓子は損害大だったけど冷蔵庫の中は無傷だったんだな

 

「イツハこれ面白いね! 変な数字が使われている!」

「あーそうなのね?」

「それにいつの時代のイルなのー!」

 

とりあえず嬉しそうだからいいか

俺はあんまり大きな声はださないでねーという趣旨だけ伝えておく

 

「ミアちゃんごはん食べていくよね?」

「えええーー、いいの??」

「いいよー」

「わーーい!」

 

知らん人の家でご飯食べちゃいけないという常識はこのさいもう遅しであろう

あとは男の料理が果たしてミアちゃんのお口に合うかどうかだけ

 

「あちゃーコンミがない……」

 

俺はミアちゃんの方を見る

 

「……」

「ミアちゃん!」

「……うえ?」

 

よかった、集中する前だった

 

「ちょっと出かけてくるけど……家開けていいかな?」

「うーん!」

「よかった」

 

まぁあの武器の様々があれば襲われても心配はないんだろうけど

やっぱり不安にはなる

 

あるいは加害者の心配かこの場合

 

「あー」とミアちゃんが俺を引き留める

 

「イツハそういえば武器持っていないよねー!」

「ううぇ? まぁ、はい」

「危ないよ! だからミアのイル、試作品だけど一個あげる」

「え、マジで?」

 

正直かっこいいから一個もらえるなら嬉しい

 

「うん! ほんとほんと!」

「マジかーー! 超嬉しい」

「うん! ミアも嬉しい」

 

そういって取り出してきたのがエメラルド色のブレスレットだった

俺は盛大にずっこける

 

いや……嬉しいけど、も

 

ミアはそれを俺にはめようとする

 

「ちょっと待って……それってなんか電気流れる奴?」

「んー? 体にはプラグは刺さないよー」

「大丈夫なの?」

「ミアがやった時は大丈夫だったけど……」

 

そういってもう一度はめてくれる

 

「ほらー!」

「あぁ、なら大丈夫か」

 

そういってミアが再びはめようとしてくれる

今度は俺もおとなしく従う

 

ビビっていたのは正直なところだがやってみるとなんてことはない

 

「はい! できた」

「おおおお!」

 

ただのブレスレットだ

 

「22出して」

 

「え?」

 

「もう察し悪い」

 

小指と人差し指と中指を突き出すように言われる。

 

「んーこうかなー?」

 

何も考えずにやったらバチィィンと電撃が手にまとう。うわぁぁぁあ!! 

 

と反射的によろめいたが痛くはなかった。

 

「それで中指を引いたらバレットが出るからね! なくなったらこまめに充電してよ!」

 

そういって自分の作業に戻っていくミア

いやいやいや……投げっぱなしかよ

まだ俺は何もわかっちゃいないんだが

 

「……」

「ミアさんー」

「……」

 

返事が無い

まあいいや、とりあえず怪我もないしいいでしょう

そういって現実逃避気味に俺は鍵を閉めて部屋を後にする

 

階段を下りて近くのドラッグストアーへ、コンミ一個ならそこで十分だ

途中空き地でさっきのを展開してみたらめっちゃカッコよかった。

 

右手だけスーパーなんとか人みたい。

 

小指人差し指と中指を突き出して薬指と親指をたたむ

 

そうするとみそら色のひし形のカタチをした何かが電撃と共に手の甲に出現する

 

かっこいい

 

これは手をそのポーズにしている時だけ出現する

その間にミアの『中指を引いたらバレットが出てくる発言を思い出し』ほんの出来心で塀のブロックに向かって中指を引いてみたら

 

『ドバァァン!』と音がしたら矛先に一センチくらいの穴が開いたので俺はすぐにそこから去った、目撃者は……多分いないと思う

 

というすんごい希望的観測

マジで人に打ったら顔面は軽く抉れると思った

 

エッグ…

 

買い物を終えると俺は急いで家まで帰った

理由はよくわからないけどちょっと塀を開けたという罪悪感とミアがお腹をすかせていないかという事と純粋に彼女のことが心配だったかrである

 

「ただいまー」

 

鍵を開けた後いきよいよくドアを開ける

思い返せば誰かが家にいる事なんてミノルをのぞけば稀である

俺は少し新鮮な気持ちになる

 

けど部屋に入るとミアはいなかった

 

部屋の隅で胡坐をかいていたりしないかなとか思ったけどやっぱりいない

急に不安になってきたところでちゃぶ台の上を見下げる

 

一枚の電子版が置いてあった

 

なんとなく俺はそれが意味のあるものだと思ってしまって色々と角度を変えて方向を見てみたがやはりなにも起きない

 

「……」

 

柄にもなく寂しくなってしまう俺

すると

 

『やっほー! イツハー』

「おお! ミア!」

『この世界じゃー全然充電できないから元の世界にもどるね―』

「……電話っていうわけじゃないのか?」

『きっとすぐ戻ってくると思うから心配しないでねーー!』

「なんだ、そうなのか」

『この起動の仕方で再生されたらこの言葉をおくるけどー』

「?」

『イツハ本当にマキナ音痴なんだねーー!』

「……」

 

最後の台詞はよくわかんないけど馬鹿にされたことだけは分かるから不思議だ

あんにゃろう帰ってきたら承知しないぞぅ

と意気込みつつも俺はきっとあの子にはなにも悪いことできないんだろうなとか思いながら食事の準備に取り掛かるのであった

 

結論で言えばミアは帰ってこなかった

その日は珍しく寝つきが悪かった