紅蓮のゆうび’s Diary

役に立つ、読みやすい、ように努めるただの日記。

19 看護師・ユカリ

 

 

 

 

それが全力?

 

今ある自分はあくまでこの環境下での自分でしかない。他社に飛ばされたら?トークが言える。契が取れる。だから何?お前が追っているのは、今を乗り切るためだけのスキルなのか。

 

==========

 

この丘の病院は広く金もかかっているから、病人や患者に対する待遇が神がかっている。

 

おまけに産業クラスターと包括ケアのいいとこをぶっこぬいて二倍にしたような厚遇っぷりで、滅茶滅茶力加えられている。

 

 

大型ショッピングモールから医学部、小型のアミューズメントまで選り取り見取りの高待遇。


軽い工場よりもでかい

ちょっとした横丁だよ

 

 

もちろん、病院とはしっかり敷地は区切られているけどね。

 

「いってなぁもう」

 

 

策を越えようとしてシンプルに右肩が痛い。

 

昨日は不審者に殺されかけられた後、結局警察に対応してもらって事なきを得た。右肩から出血しているということで救急車を呼んでもらい、昨日この病院へ搬送され治療してもらった。

 

「腹の痛みは気のせいだったか...?」

 

午前中は警察の事情聴取とコンビニの店長に休みの連絡をした後に、ミノルに雑談連絡。そしてアキラが訪ねてきた。

 

『クカカカ、災難だったな。報酬を受け取りに来たぞ』

 

『おい、俺の心配無しかよ。それよりキララさんの御祓全然効いていないんだけど』

 

 

『クカカカ、キララさんはいつだって異常だ。それより【シリウス・リリカ】がもうそろそろ壊れそうだ、気にかけてやれ。殺人鬼はまだ捕まってないらしいな、気をつけるといい』

 

 

そう言って災厄の布石を打っていくアキラ。

 

 

あいつまじでどうやって情報を仕入れたのか、病室の番号教えていないぞ...

 

なんて肩の痛みから逃れるために回想シーンに浸っていたところ、声がかかる。

 

 

 

「どーこいくの、ボオヤ?」むぎゅぅぅぅ

 

 

隠れて脱け出して、敷地外、後一歩のところで捕まえられる。

 

 

『鬼ごっこは終わりか?』

 

 

うわっデカ...じゃない

 

 

「離してください」

 

 

 

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首に手を回される

 

「ぼぉやが逃げるのやめたらね」

 

「ふぅ...やめます」


離してもらった瞬間に足壊してでも逃げよ

 


「素直に聞いてくれそうもないのだけど」

 

 

なんでわかるんだ、ぁ

 


「んん、もし逃げたらぁ...じゃぁおばさんとキスね?」

 

「おばっ...いや全然あり、なんでもないです」

 

「んぅ...さ、行くわよぉ」

 

「ちょ、はなしって!」

 

「当ててるのよ〜」

 

「いやそんなこと聞いてねぇ」

 

 

今はというと、美人のお姉さんと鬼ごっこ中で、たった今俺が捕まった。逃げ惑う理由はなんとなく恥ずかしいから、というのと他に理由があるから。

 


お姉さんは近くの建物で車椅子を借りてき、

無理やり座らされる俺。

 


頭には柔らかい双丘がのしかかる。

 


「普通に重いです」

 

「ボウヤ流石に怒るわよ?」


耳元に口を持ってこられた

かなりの気迫と緊張感


「ごめんなさい」

 

「...いいわよ」


そう言って当たり前のようにまた

俺の頭におっぱいを乗せてくる姉さん


「姉さん当たってます」

 

「あぁぁん、おねぇさんだなんてぇ」


さらに前かがみになり

後ろから抱きついてくる姿勢になる

 

 

その姿勢は俺の右肩をしっかり想っている。

 


すごいのはそんな中でも車椅子は安定していると言うことだ。


「いや...あの、離れて...」

 

「離すと逃げるでしょう?」

 

「もう逃げません」

 

「本当ぅ? 嘘ね」

 

「逃すのが怖いのですか?」


たっぷりの間をとって


怖いわ...一応罰則が厳しいって言うのもあるけど、

 

ボウヤがそんな状態で出て行って何をしてどうなるのか。怖いわ


途端に安否が気になるといった旨を伝えられる。


何も言い返せなくなる



姉さんは車椅子を止めると、俺の前へとやってくる。

 



 

「三日もすれば退院できるから、それまで我慢してくれないかしら?」

 

「ええ、」

 

「もう抜け出さない?」

 

「確証はできぬ」

 

「やっぱり嫌なのね」

 

「いやというか苦手」

 

「じゃぁ...『得意』にさせてあげようか?」

 

「どいうこと?」

 

「おばさんとイイことしましょうか?」

 

「はぁ...またそうやってふざける」

 

「真面目よ、っちゅ」

 

「わぁああ! おい、デコに口つけんなや」

 

どんな看護師だよ。車椅子がひっくり返りそうになるところで支えられる。

 

 

 

 

「どこか...行きたいところでもあるの?」

 

「いや、別に...」

 

「なら、会いたい人がいるとか?」

 

「いや、違うナス」

 

「なら、三日。一緒にいましょう?」

 

「...その三日があるのならば、家にいたい」

 

「はぁ...頑固ねぇ」

 

 

中庭の散歩道をゆっくりと歩いていく。

 

 

今日も景色が綺麗だと。

 

 

 

三日後にネット友人が言っていたバイトでもしようかな、どうせ体使う系じゃないでしょ。

 

 

 

夕方はテルオが面会しに来てくれた。

 

『元気かぁ!』

 

最近のこいつの好感度バク上がり感が半端ない。

 

「エリオ元気だぜ!」

 

「誰?」

 

「誰って、ヒデェな。お前が紹介してくれた小型のやつだよ」

 

 

ヤベェ、忘れてた

 

 

普通にごめんなさい

 

 

「その肩じゃビーチバレーできねぇな」

 

「いつから俺はビーチバレーやる予定だったんだ?」

 

「明日」

 

「まぁ...遊ぶ約束はしていたからな」

 

「てかさ」

 

「な、なに。真面目な顔して」

 

「ここの看護師かわいすぎじゃね?」

 

「まぁ...それはまぁ確かにだけど」

 

 

真面目な話かと思ったらそれなんかい...