紅蓮のゆうび’s Diary

役に立つ、読みやすい、ように努めるただの日記。

20 お使い少女

 

 

仕事の遅い人間がやってしまっていることベスト3。

 

1.フィードバックをもらわない

 

できないことを認めないからくる心情。全部自分で完結させようとする。

 

 

2.計画を立てない

 

大まかでいいから決める。夏休みの宿題感覚でお客様に出すものを完成させようとするんじゃない。こちらはもう責任と名前を背負っている。

 

 

3.仮説を立てない

 

なんでやっているのか、いつまでに行うものなのか、誰のためにやっているのか、どうしたら喜ぶのかの、予想すらしない。特になんでやっているのか。

 

これをするとしないではやる気が全然違う。宝を探しにいくのに地図を持っていくと思うが、仮説を立てないというのは地図を持っていかず宝探しをするのと同意義である。

 

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俺がコンビニで立ち読みをしていると、自動ドアが開いて、幼稚園児ぐらいの女の子がひとりではいってきた。


女の子は一人で買い物に来たらしく、 極度の緊張からか、ほほを赤く染め真剣なまなざしで店員に 「けえきください」と声を発した。


いかにもバイトといった感じの女子高生らしき店員は、 「一人で来たの?ママは?」と問いかけた。


すると、女の子は、 どもりながら必死で、一人で来たこと、今日が母親の誕生日なので 驚かせるために内緒で自分の小遣いでケーキを買いに来た、 という趣旨のことを長い時間かけて何とか話し終えた。

 

(今日はこの漫画の作者休みなのか)

 

店員は戸惑いながら 「そうー、偉いねー。どんなケーキがいいの?」 と一応注文をとった。

 


「あのねー、いちごがのってるの!」

 


どう見ても女の子が大金を持っているようには見えない。 手ぶらだ。財布が入るような大きなポケットもついてない。


まず間違いなく、小銭を直にポケットに入れているだけだろう。


俺は盗み見しながら事態を見守っていた。その時には漫画のことなどどうでもよかった。

 

店員も女の子がお金をたいして持っていないことに気づいたらしく、 イチゴが乗っているものの中で一番安いショートケーキを示し、 「これがイチゴが乗ってるやつの中で一番安くて380円なの。 お金は足りるかな?」と問いかけた。

 

すると、女の子の緊張は最高潮に達したようで、 ポケットの中から必死で小銭を取り出して数え始めた。 俺は心の中で呟いた。

 

どうか足りてくれ...

 
「100えんがふたつと・・・50えんと・・・10えんがいち、にい、さん・・・」

俺は心の中で叫んだ。


ああっ!ダメだ!280円しかないっ!!!


店員は申し訳なさそうに、お金が足りないからケーキは買えないという趣旨の説明を女の子にした。

 

それはそうだろう。店員はどう見ても単なるバイトだ。 勝手に値引いたりしたら雇い主に怒られるだろうし、 女子高生にこの非常事態を『大岡越前』か『先輩』ばりのお裁きで丸く納めるほどの人生経験はなくて当然だ。

 

かといって、赤の他人の俺が女の子のケーキの金を出してやるのも不自然だ。女の子が自分の金で買ってこそ意味があるのだから。

 

女の子には買えないことが伝わったらしく、 泣きそうなのを必死で堪えながら、 というより、声こそ出してないが、ほとんど泣いていて、小銭を握ったままの手で目をこすりながら出て行こうとした。


すると、ろくに前を見てないものだから、 自動ドアのマットにつまづいて転んだ。 その拍子に握っていた小銭が派手な音を立てて店内を転がった。

 

「あぁーあ」

 

他に誰もいないので俺は少女に駆け寄る。

 

「大丈夫かよ」

 

「うぅ、あぁ」

 

俺は女の子が小銭を拾うのを手伝ってあげた。
小銭をすっかり集め終わった後で、女の子にこう話しかけた。


「ちゃんと全部あるかな?数えてごらん」


女の子は

 

「100えん、200えん、300えん・・・?あれ!380えん、あるーっ!」

 

「きっと最初に数え間違えてたんだね。ほら、これでケーキが買えるよ」


と言うと女の子は嬉しそうに、


「うん!ありがとう!」

 

としっかりお礼を言い、 イチゴショートを一つ買っていた。

 

俺はそれを見届けてから、自分も同じものが食べたくなったのでケーキを買おうとして気づく。

 

 

レジにお金を置き、

 

 

「お客様...申し訳ございません...」

 

「はい?」

 

「いちごショートは売り切れでございます...」

 

 

 

 

 

 

 

2ちゃん抜粋