紅蓮のゆうび’s Diary

役に立つ、読みやすい、ように努めるただの日記。

2 舞先・ミノル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特に何もない。

 

そんな日常のはずだった。

 

バイト先のコンビニにギャルが新任してきた。

 

それだけ。

 

 

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朝起きて歯を磨いてから気づいた。部屋内に魔法少女がいた。

「やあ、たまたま通りかかったらキミはどうやら恵まれているようだね。だけど慢心はよくない、だから僕がおまじないをかけていってあげよう、これで血なまぐさいことにはならないはずさ、まぁなにお礼なんかいらないよ強いて言うならお茶でも出してくれると嬉しいな」

 

そう言って勝手に入ってきて俺ん地の床になにやら指でなぞり始める魔女っ子

 

ちょっとなに言ってるのかわかんないけど最後だけわかった

 

とりあえずお茶を出せばいいのかな?

 

なにしたらいいかわからないしどこから突っ込めばいいのかわからないからとりあえず出来ることからやり始める俺

 

冷静に考えるとコワっ

魔女っ娘コスプレしたレディが俺んちに不法侵入って

なにこの状況...

相手がゴツい男性じゃないだけまだマシだけど

 

冷蔵庫から麦茶を取り出し魔女っ子の近くの机に設置

 

「どうぞ...粗茶ですが」

 

なんで俺が下手に出なければならないのか

 

「おおありがとう」

 

そして驚くべきはここからであった

彼女は左手で指をなにやら宙で描くと

なんと俺が置いたコップがふわふわと浮かび上がりフラフラと彼女の方へ向かうではないか

 

「嘘」

「んぇ?少年もしかして信じていなかったの?まぁ別に行けどね、最近では信じる人の方が珍しいくらいだし、どこか出かける途中だったんでしょう?ここは任せて行ってきていいよ、なぁになにもとったりしないさあとで請求もない安心するといい」

 

書いている「何か」からは一切目を離さずにのんびりと言い放った彼女

 

俺はもう考えるのがめんどくさくなって財布と携帯と筆箱を持って大学へ向かう

 

「え、じゃぁ、おねがいしゃす...」

「あーい」

 

あきらめムードに入った俺に彼女は一言

 

「きみ今日から、数々の受難を経験しそうだね」

 

そういってカラカラ笑う魔女っ娘

不吉なことを言わないでほしい

 

俺は家を後にする



*********



月曜の大学講義は二限だけだ

 

「久しぶり」

「うん、久しぶり……今日はなんか疲れてるみたいだね?」

「うん、ちょっと疲れた」

 

俺の超数すくない友人、

というか現状唯一の友人

舞先ミノル

中性的な顔立ちであるが男性ではない

あ、間違えた…女性ではない

本当に偶に間違える

女性ではない

男である

 

「なにかあったの?」

 

彼は大変おとなしい

それでいて人思いのいい青年だ

極度の人見知りと引っ込みじあん(事案)という個性をもつ

今回も俺の事を心配して聞いてくれる

泣ける

そして体が致命的に弱くたびたび休む。

難儀な人だ

俺はとある共通点があり彼とよくいる。

あまり校には来ないけど

 

「あぁ、なんか不法侵入者が家にいて」

「えぇ!」

 

ミノルは大きくなった声を恥じるように口に手を当てる

 

「大変なことじゃないか……」

「そうなんだけど」

 

俺は今朝の話を告げる

要約は相手があんまりにも悪意がないからほったらかしにした、だ

 

「イツハ、ダメだよ警察に通報しなきゃっ」

そういって携帯を取り出す

俺はそれを手で止める

 

「いいんだ、警察沙汰にはしたくないし」

 

男性の教師が準備ができたようで話し始める

講義が始まる合図だ

 

「イツハがいいなら……いいけど」

 

授業が終わるとミノルは食い気味に聞いてきた

 

「ってことは今日は家にいっちゃだめとか言わないよね?」

 

毎月末は定期的にミノルとワイワイするという予定が入っている


「アカン・・・今日はあかんねん、ごめん」

 

間違ってもあんな変な魔女をミノルに邂逅させるわけにはいかない


「・・・・・・了解了解」

 

その姿を見ると、俺とちゃんと話してくれる数少ない友人なのだと実感する

 

「安全そうだったらさ、今週どっかで振り返るからヨ」

「うんっ」

 

男子同士でちょっと変と思いたければ思え

おれはこれが、大変心地よいのだからそれでいい

 

校舎を出て家路へ向かう

その間キャンパスにて生神の姿を探す

生神というのは神聖な者でもなんでもなくただの同級生

 

生神アキラ

 

いろんなどうでもいいことを知っている変わり者だ

 

『クカカ、どうでもいいは余計だろ』

 

と彼がいたら言ってきそうなものである

今日はいないらしい神出鬼没であるからな・・・・・・気持ちを切り替えて歩みをすすめる

まぁ得てして大学生などそんなものである