紅蓮のゆうび’s Diary

役に立つ、読みやすい、ように努めるただの日記。

18殺人鬼・霧屋敷

 

 

 

 

確かにここ最近の自分には奇妙な出会いが多かった。振り替えると確かにそれはプラスのことが多かった。だが、奇妙というのはマイナスでないとは限らない。自分にとって都合の良いことばかり起こるなんて誰が言ったのか。都合が良すぎた。

 

 

死のうとか、死ねとか、殺すとか。そういった言葉がこんなに重いことだとは思わない。

 

なぜなら人は幸せだからである。

 

でもそれは、あくまで各々の尺度。現実の幸せというものは意外にも低かったりする。

 

 

 

 

遠くから足音が聞こえてくる


まるで必要以上に俺を狙っているかのように


冗談でしょ?

なんで俺が


そう、逃げるために、顔を上げた瞬間だった

 

 

 

 

 

 

 


「よぉ? 鬼ごっこはもう終わりかい?」


思いっきり俺は鉄のようなもので右肩を殴られる。


脳が揺れて

視界が霞む


いってぇっぁあ

 

俺は右手首を向けることで相手への牽制を産む


バチィィィといって手からひし形が発生する


昨日みたいにしのごの言っとる場合じゃないのは確かだ


一度人間相手に銃を向ける経験をしておいてよかった

 

そういう意味では昨日のお姉さん事件もあながち無駄ではなかった


実際はそんな経験何の役にも立たないのだが


今までうまくいきすぎていた

 

有名な人が言うように

 

世界は残酷で

 

世界はいつだって俺にご都合主義を許してくれないことをすっかり忘れていた

 

今までが幸運で

 

今まであった幸せに傲慢にも溺れていたことを忘れていた

 

世界はデフォルトで不条理

 

いつからそんなことを忘れるようになったのか俺は

 

きっと素敵な友達に出会えたから

 

高校の時から運がやたら良かったから

 

今までが幸せだったから

 

怪我したことなかったから

 

ずっと上手くいってつまらなかったから


いやそれは言い訳ではなく

 

一つの誇りとして心の中に留めておこう

 

じゃあ素敵な巫女さんとお話できたから

 

それもこの不幸には釣り合わない幸福な気がする

 

 

なら

 


相手は何のことはない

俺の銃口には目も向けず

一直線に俺の首を狙って走ってきた

 

 

黒フードを被った少年オア青年

 


はなっから俺が打つことなんて想定していなかったのだ

 

俺が打てないことなんて最初から相手はわかっていたんだ


何が言いたいかというとチキった


っていうかなんでこれが銃であると知っている?

 

「おらぁぁあ!」

「ぐぅぅっぁぁぁ!!」

「殺ってみろや」

 

 

押し倒されて


胸元を引っ張られる

挑発されているのだ


しかし俺は、そんな言葉にのることはできなかった

 

 

そして彼のナイフは俺の腹へと伸びていき、

 

腹の中が熱くなる

 

「ぐぁぐがかぁあああ」

 

感覚でわかるこれは刺さった、

 

 

もう死んだかと思ったそのとき。

 

 

大量の風が俺の体から吹き荒れる。そして空中に謎の文字文字が浮かび上がっていく。

 

 

『ガキィィン』

 

 

「なんだこいつ...腹にナイフが通らねぇ」

 

「な...」

 

「なんだ?」

 

 

数々舞っていた文字がフード野郎にまとわりつき始める

 

「っち、テメェ何しやがる」

 

俺は何もしていない

 

文字は黒字から赤文字になり彼に張り付く、そして彼の動きも止まる

 

「.....」

 

「い、今のうちにッ!」

 

「おい、待ちやがれ」

 

 

後ろ髪引かれることなく俺は現場から逃げる

 

右肩に激痛が走るも、今は気にしている場合じゃない。

 

「っはぁっはぁっはぁ!」

 

 

逃げろ、次は殺される

 

 

そして俺は近くの交番に駆け込んだのであった。

 

あいつだって人間だと思うので、警察にまで乗り込んでこないだろう...

 

 

 

俺はこの時、久しぶりに生きている実感を思い出したのであった。

 

 

 

 

あの浮いて拘束した文字はいったいなんだったのだろうか?