紅蓮のゆうび’s Diary

役に立つ、読みやすい、ように努めるただの日記。

7猫と少女

 

 

 

 

朝ニュースを見ると最近ここらへんで連続殺人が起きているらしい。

 

 

俺はそれを人ごとのように流す。

 

 

一時限目は眠くてかなわん。加えて最近は俄然寒い日が続く。

 

 

そして家を出て、階段を降りて塀をふと見た時のことであった。

 


猫がいる。ちょっと太めの白。

 


「あれからどうだ少年」

 


猫がしゃべった。

 

 

「ぎゃぁああ、猫が喋った!」

 


「まったく最近の人間は礼儀もしやんとは」

 


猫パンチ!!

 


急にとんでもないフォームで(全身をめっちゃ伸ばしながら) 顔面を殴られる

 


いってぇ!!

 

 

昨日殴られたところぃお!

 


近くの女の子に笑われる

 


「うっわぁ笑われたじゃないか…」

 


「まぁなんでもないならそれで良い、あの紙持っているんじゃろうな?」

 


「え? 髪?」

 


「紙じゃばかもん、机の上に置いてあったじゃろうが」

 


「え、ごめんなさい」

 


「これだから

 


「わーわーうぜぇうぜぇ 」

 


「なにおぅ!」

 


っふん、まあとにかく紙は常日頃から持っておけぃ、今すぐ取りにもどれぇい

 

 

えぇ、だって学校が・・・・・・

 


四の五の言わずいいからいけぃ!!

 


なによアイツーー猫のくせにぃ

 


「ねぇお兄さん」

 

「うわぁ! びっくりした」

 


笑いを隠そうともしない学生制服を着たお姉さん(メガネ付)

 

イリ高校のものと思われる

 

ってさっき俺の事を笑ってた人じゃん恥ずかしい・・・・・・

 


「っふふ! びっくりするのはこっちだよ、あれ。猫さんとおしゃべりしていたんですか、ププ」

 


最後に小ばかにしてくるように、まったく配慮を気にすることもなく聞いてくるジェーケー

 


・・・・・・いい度胸じゃないですか

 


「っぐぅ、そうですけど」

 


こりゃ百パー変人認定だ

 

 

まぁ言い訳も思いつかなかったしもういいや

通報されないことを祈るばかりである

 


「あっはは! やっぱりなんだ、なんか遠目でみてたら喋ってるからさ、つい見行っちゃったよ」

 


そしたら私にも会話の内容が聞こえてくるから不思議だよねぇ! となけなしのフォローを投げてくれるイリの女子高生

 


いい人だ

 


「私の友人とかも変ですけど、あなたもいっちゃってますね」

 

 

「そんなあなたはそんな相手によくしゃべりかける気になりましたね...」

 


呆れと感嘆の声が出てくる

 


難しい顔しながら「いやぁ確かに怖かったけど」とぼそりと呟く彼女

 


じゃぁ喋りかけるなよ物騒だな

俺が変ならその変に話しかけるアンタはどう考えても、もっと変だよ

 


「猫に殴られている人みかけたら笑っちゃって、その本人はいったいどんな人でどんな性格なのかなぁとか思ったら気になっちゃってっ」

 


お嬢さん、俺にはいいけどあんま男性に気になっちゃったテヘペロとか言わない方がいいよ

 


その好奇心は危険行為だ

 


「あそう」

 


適当に流す俺

 

実は「気になっちゃった」とか言われたから舞い上がっちゃったりしている

 


「それに私猫、好きなんだよね。お兄さんもきっと好きなんじゃないかな?」

 

 

「え? 別にそこまで」

 


どうしてそう思ったのか


「ほら、やっぱ――えぇぇ! だってあんなにしゃべっていたじゃん! 猫好きの人には悪い人はいないって言おうとしてたのに・・・・・・」

 

 

「いや悪いけど今日の一件であんまし好きになくなった」

 


そんなぁ――と悲壮な声を出す姉ちゃん。どっかの吸血鬼みたいに泣いたりはしない

 


「猫様かわいいじゃん! なんでそういう事いうのぉ」

 


気持ち一歩こちらへ踏み込んでくる姉ちゃん

 


「な、なぜそんなことを言ってはダメなのか・・・・・・」

 


ゆっくり後ずさりする俺

 


「実は私も結構一人でいる時は猫と喋っちゃったりするんだーとか共感してもらおうと思ってたのに」

 

 

「うわぁ」

 


近づいてきた目的はそれか

 


「ちょっとドン引きしないでよ! 第一お兄さんだって話していたじゃなぃ!」

 

 

「俺はしょうがなく喋っていたからしょうがないんだよ!」

 

 

「うわー、すぐ男は言い訳する」

 


なんかさっきもおんなじような咎められ方をした気がする

 

 

そこから一進一退の罵りあいをした後

 


俺が丁度時間という概念を思い出したところで会話が止む

 


「あ、やば! じゃねお兄さん! ちゃんと猫さんのいう事聞くんだよ!」

 


そういって手を振りながら去っていくお姉さん

え、話の内容もしかして本当に聞こえていたのか?

 


もしかして彼女も猫と話すことができるのか・・・・・・あるいは彼女も頭がおかしいのか。それとも猫自体にその能力があったのか

 


まあいいや

 


遺言のように深く頭に刻まれた言の葉を思い出し部屋へと向かう俺

 


「あーあ、なんで俺、猫のいう事なんか真に受けてんだか」

 


それはきっと彼女の力もあるのであろう

 

イリ高校の制服を着た姉ちゃん

 

人生で初めてまともな女性と話せた気がする・・・・・・いやそうでもないか、

 


「いや、まとも?」

 


ガチリと鍵を開けて玄関に入る

 

猫は紙がどうのかって言っていたけどー

探し始めるけどリビングにはそれらしきものは全くない

 


もしかしてこれか?

 


台所のまな板に置いてあった

あいつテーブルの上にあるみたいなことを言ってたのにうそっぱちじゃねぇか

 


紙を取り上げるけど特に何も描いてない

 


「えぇ?」

 


やっぱ王道は燃やすだけど

猫はもっとけ、みたいなこといっていたからな

 


コンドームを財布に入れて運気アップよろしく

俺は拾った紙を財布の中に入れておく

 


「さてと」

 


これで約束? は果たせたけど、俺何かしようとしていた途中なんだよな

なんだっけ?

 


思い出そうとしながらふと棚の上の写真立てを見て、その隣の置時計が目に入る

 


「あぁ…...そうだ学校......」

 


もう完全に間に合わない

なぜイリ高校の姉ちゃんが急いだ時に俺も急がなかったのか

 


はぁ…

 

 

==========

 

 

バイト先にて。

 

 

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「イツハちゃんごめん!!」

 

「何事?」

 

 

「店長から聞いて、昨日殴られたって! どこ? ここ!? ごめんねぇ!」

 

 

あんまり体を触らないでほしい

 

傷ついた頬を触られる。

 

 

「いやいいですよ、別に死ななかったですし」

 

 

俺は目を逸らす、身体をやんわりと引く。

 

 

「うわぁあああん、優しいぃぃ!」

 

 

手を握られそうになったので知れっとよける俺。

 

「あんまり頬を撫でないでもらってもよろしいでしょうか」

 

 

「うぅう、本当にごめんね……どうしよう、今度ごはん奢るよぉ?」

 

 

小心した心が一瞬踊る。

想像しただけで恥ずかしい。

ギャルと二人でごはんなんて……

 

 

なんという贅沢。だが現実で行こうと思うと色々な苦難がある。

 

 

何着ていけばいいんだ。

どこのごはん屋だ。

牛丼とか指定したら怒るのかな。

 

 

「プレミアムエッグタルト一つで手を打ちますよ」

 

 

俺は逃げの一手。

 

 

「ふぇええ、そんなんでよければいくらでも出すよーー」

 

 

「まぁもとはと言えば天道さんのせいでもない訳ですし、天道さんだってただのとばっちりですし」

 

 

「ぅぅぅ、本当ありがとう」

 

 

 

明るいとは思っていたが。ここまで明るい子だったのか。

 

 

 

10 吸血鬼・ヴァリス

 

 

 

ある日の暮方の事である。

 

俺は寝っ転がりながら無駄な時間を過ごす。

 

大学からアパートまでは徒歩15分少々である

余談ではあるけど俺は今2年であるが就職活動については全くといっていいほど何も考えていない。知り合いの生神アキラではないがそれが大学生というものである、何も考えないのだ。

 

これが現状である。はぁ。

 

そんなことを考えているとアパートの窓がノックされた。

 

誰だぇ?

 

「お初にお目にかかります、私ヴァリスと申します」

 

宝塚系の中性的な顔立ちをしたイケメン

又はその美女は優雅に一礼するとそのまま逆様に宙を浮き続けた

 

「え...あなたどうして...」

 

というかどうやって空飛んでいるんだ

 

「結界が貼ってあって入れないのです...」

 

結界ってなんだ

あとその結界とやらが張ってなかったら勝手に入るつもりだったのかこの人

 

「いや、その...」

 

今日は濃いなぁ

ドッキリでもやられてんのか俺

 

来客者は今風で言う吸血鬼のイメージをした存在であった

 

「えっと・・・・・・なんであなたはここへ?」

「・・・・・・聞きたいですか?」

 

相手方の目が細くなった瞬間

部屋の温度が急激に下がったような錯覚に見舞われる

イメージ通りの存在だ、ハロウィンはまだ先だというのに

いや、もうすぐか?

 

「いえやっぱいいです」

「アナタを先ほど上空から見掛けましてね、とても素敵な方だと・・・・・・そう思ったのですよ」

 

勝手に話し始めたぞ

 

「・・・・・・どうしたいというのです」

 

そんな怖い目で見つめられても何もないよ

かといって逸らしたら絶対死にそう多分

あぁいやだいやだ

あと、上空からってなんなの

 

「部屋に入ったのを見計らって少しだけお邪魔しようと計っていたのですがいやはや・・・・・・あなたの方が何枚も上手だったということだ」

 

オーバーリアクションでその着ているかっこいいコートを弾くヴぁーなんとかさん(忘れた)

 

「自分は......特に何かした記憶は...あ」

 

「おや、心当たりがあるようだね。まぁいい、私を中に入れてくれないかな?」

 

この人今の流れでよくしゃぁしゃぁと入っていいか? なんて聞けたね・・・・・・その風体で入れると誰が思うか

 

「ごめんなさい嫌です」

 

気が付けば寒さも霧散していた

 

「うぅーん、じゃぁ強行に出てもいいかな? それは困るだろう?」

 

いや強行突破でこれるんかい

しかしだからといって俺は入れる気もないし、解除方法も剥がすのか祈祷するのかも分からないしどうしようもない

 

「えぇ、でも自分がこの結界?かなにかを張ったわけじゃないのであなたを入れる方法がわからないのです」

 

ほう・・・・・・と彼女ないし彼は呟き目を再び細める

少し寒さを感じたが先ほどの比ではない

というか本当に女優みたいな顔立ちだな

 

「ではこちらへ来てもらってもいいですか」

「あ、はいーー」

 

といいかけて俺は歩みを止める

 

「ん? どうしたんだい」

 

いやいやいや

一瞬でも従おうとした俺はいったいどうするつもりだったんだ

 

「絶対食べるでしょ?」

「んーーばれている?」

 

一応嘘であって欲しかったのにどうやらホントであったようだ

ボケをしたのにぼけ返されたような気分だけが残る

 

「えぇ? 本当に食べられるんですか!」

「いやいや、もちろんだとも」

 

当然のように言われても困る・・・・・・

いや困るし

 

「じゃあ行くわけないじゃないですか!」

「ええ! そんなぁ」

 

ちょっと面白い会話になってきた

少なくともこの言葉の返しから相手が悪い人ではない気がしてきた

もちろん食べさせる気はさらさらないけどぅ

 

「え、マジで嫌ですよ死にたくないです」

 

その拒絶にコートの人は何を思ったのか笑い始める

 

「――ぇぇ? ふふ、なにも命までは奪ったりしないよ」

 

その大げさなリアクションが逆に信用できない

 

「それを・・・・・・信じれるとでも?」

「うーーん、困ったな、ただ血が欲しいだけだよ」

 

うわ、ガチなやつじゃん

 

「ど、どうやって得るつもりで?」

「こう・・・・・・そうだね、恐がっているようだからなるべく優しく、こうプスッと」

 

その最後のプスッが嫌なんですがそれは

あとそれが真実であるという保証もないし

 

「い、いやです」

「ふぅむ、嫌かい?」

 

心底困ったような顔をする

というかそろそろベランダで逆さまになるのやめてもらいたい近所の人に見られたらどうするんだよ、という趣旨を丁寧に伝えてみる

 

「あぁ、じゃぁこうしよう、君が血をくれたらここを去るから」

 

なにがじゃぁこうしようだよ、さも名案のようにいいやがって

一応逆様から重力に正しい方向の立になってくれる相手方

 

「いやですって・・・・・・」

 

「うううん・・・わかった!」

 

何がだよ

 

「優しくするから!」

 

そう言って女の子だったら一発で落ちそうな笑顔をこっちにぶっ放してくる彼ないし彼女

 

「そうじゃないよ!」

 

「えぇ、じゃぁなんなのぉ?」

 

本当にわからないと言った表情をする相手方、いや本当に分からないのだろう実際

 

「それが本当かもどうかもこっちには分からないのに・・・・・・」

 

「ああ、そうか、信用してもらえてないわけか」

 

と言うか僕とあなたの間で信用が生まれる要素が一個でもあったかね

 

「ええ、ですから――」

 

びっくりした

急に脱ぎ出すんだもん

 

「えぇ、ちょっと待って待って待って待って」

 

なんで脱ぎ始めたこの人

コートが一階へと消えて地面に落ちる音がした

ワイシャツだけになる彼

 

恐らく胸が無いからここでやっと性別が分かる

多分だけど

 

「人と信頼を作るには交配(交尾)が一番いいと聞いた」

 

誰だそんなこと言ったの

 

あとあなた多分男だよね? きついんじゃが・・・・・・

 

「そんな信用の作り方聞いたこともありませんよ」 

 

「え? そうなのかい?」

 

「それに僕あなたとそんな関係になりたくないですし」

 

そういうといよいよ悲しそうな顔になる彼

 

「私が女だったらよかったのかい」

 

やっぱり雄か。

 

本当に泣き始める彼

 

ちょ、ごめんなさいって

 

ていうかそこじゃねーし

 

「君の血を・・・・・・飲めないなんて…」

 

「な、泣かないでくださいよ...」

 

俺はこの空気を何とかするために話題を変える

 

「ちなみに先ほど強行突破と言っていましたが、ちなみにどういった方法なのですか」

 

「ぐすっ、横がだめなら縦から、天井突き破るだけだよ」

 

とても嘘を言っているように思えない

この人ならきっとやりかねない、実際空飛べているわけだし。

 

しかしてその方法を未だ取っていないのであればやっぱりこの人はいい人なのではないか?

 

「ねぇ、あんたのお名前、なんでしたっけ?」

 

「へ? ヴァリスだけども・・・・・・」

 

「そっかヴァリスさんね」

 

意図がわからないらしい

俺もよくわからないけど

無意識に彼と交流や好感を上げようとしているのかもしれない

 

彼を信じれるだけのパーツが欲しい。悪い人ではなさそうだから、信じたいというきもちもあるが

 

「えっと」

 

ヴァリスさんは・・・・・・やっぱり生の血がいいの?」

 

悲痛な顔から少しだけ明るさを取り戻す彼

 

「え? そ、それはそうだけれども・・・・・・」

 

「そっか・・・・・・もう一回外へ出た血を食すのはやっぱり抵抗あり?」

 

「? そうだね・・・・・・でもそれでも私は嬉しいよ」

 

「そっか、じゃぁコップに俺の血を垂らすから・・・・・・っていうのでどう?」

 

外へ出て彼に吸ってもらうのもいいけど

それに及ぶにはまだ勇気が出ない

 

「ほんとうかい?!」

 

「ごめんあんまり大きな声出されるとご近所に響くからやめてくれます、か?」

 

「あぁごめんごめん、でも本当なんだろうね? 嘘だったらすごい傷つくよ」

 

「大丈夫なら、それでいってみます。ちょっと待ってください」

 

俺はとりあえず剃刀を探す、ない

だから台所から包丁を取ってくるけどめちゃめちゃ抵抗ある正直

 

擦り傷とかだったらいつのまにかできているんだけどなぁ意識してやろうとすると本当に怖い。ていうか包丁のビジュアルって本当怖いよねこれ

 

引き出しカミソリを探してみるけどやっぱりない

 

「刃物はやめといたほうがいい、跡になるからね、針とかはないのかい?」

 

すんごい的確なアドバイスがベランダから飛んでくる

そりゃそうか血のスペシャリストみたいなもんだからな、いや違うか

 

確かに跡になるのは嫌だけど。そんな大げさなくらいに引き裂くわけじゃないだろう

 

俺は裁縫道具から針を一本取り出す、これなら俺にでもできそうだ

 

「うっし」

 

俺は一本針を凝視しながらゆっくりとこれを指に刺すイメージトレーニングをしていく

 

昨日殴られたかさぶたがうずく。

 

「水をさしてごめん、人間の体は弱いと聞く針を刺すならよく熱するといい」

 

俺は心の中でずっこける 

 

あ、 ガスコンロか・・・・・・あ、ウチ、アイエイチだった

ライターライター・・・・・・ガスバーナーならあった

 

「それとワインとかお酒があるといいね、お酒は蒸留酒じゃないほうがいい。熱したあとはお酒を手にかけて消毒をしっかりするんだよ、病気になったら大変だからね」

 

俺はそれら逐一を頭に入れながら頷いていく

てか詳しいな、そりゃそうなんだろうけど

蒸留酒って・・・なんです?」

「ブランデーやウオッカ、ジンとかのお酒を加熱してあるものだよ、ここらへんだと米焼酎とかかな?」

 

「はぁ」

 

申し訳ないけど聞いてもわからなかった。

 

そっからの流れは、

 

意を決する

血を上げる

喜ぶ

 

「もしこの機会がなかったんだとしたら今すぐ君にハグしたいくらいだよ」

 

俺は別にいいですけどそれで

 

疑っていたわけではないけど本当に飛んでいくヴァリスさん

 

しっかしイメージしていた吸血鬼と大分違うなあ

俗世に染まっている感がある。

6 魔法少女二回目 編集中

 

生きる上で大切なのは、どれだけ今の自分の行動が。未来の自分に返るか考えれること。今なぜそれを食べるのか、今なぜそのご飯を食べるのか、なぜ筋トレするのか、何のためにパソコンをいじってITで仕事するのか、それが5年後何の役に立つのか、自分はこの会社にAGになぜ入ったのか。なぜここにいるのか、先輩はなぜあれを言ったのか、なぜそれがいいというのか、一回なぜを繰りかえすのか。

 

 

**********

 

 

魔法少女がいた

 

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「やあ、またまた通りかかったらキミはどうやら恵まれているようだね。だけど慢心はよくない、だから僕がおまじないをかけていってあげよう、これで血なまぐさいことにはならないはずさ、まぁなにお礼なんかいらないよ強いて言うならお茶でも出してくれると嬉しいな」

 

そう言って勝手に入ってきて俺ん地の床になにやら指でなぞり始める魔女っ子

 

ちょっとなに言ってるのかわかんないけど最後だけわかった

 

とりあえずもう一度お茶を出せばいいのかな?

 

「なんてなるかぁああ!! 誰だあんた、勝手に家に入ってきて」

「んぅ? 魔法少女だとも」

 

 

 

 

なにしたらいいかわからないしどこから突っ込めばいいのかわからないからとりあえず出来ることからやり始める俺

 

できないことばかり考えてもメンヘラするだけだ。俺は元から、何もできない。何もできないのにできることばかりを考えても自分を苦しめるだけである……

 

「え?」

 

冷静に考えるとコワっ

 

魔女っ娘コスプレしたレディが俺んちに不法侵入って

なにこの状況...

相手がゴツい男性じゃないだけまだマシだけど

 

冷蔵庫から麦茶を取り出し魔女っ子の近くの机にそっとお茶を置く。

 

「どうぞ...粗茶ですが」

 

なんで俺が下手に出なければならないのか気を使わなければいけないのか

 

「おおありがとう」

 

そして驚くべきはここからであった

彼女は左手で指をなにやら宙で描くと

なんと俺が置いたコップがふわふわと浮かび上がりフラフラと彼女の方へ向かうではないか

 

「嘘」

「んぇ?少年もしかして信じていなかったの?まぁ別に行けどね、最近では信じる人の方が珍しいくらいだし、どこか出かける途中だったんでしょう?ここは任せて行ってきていいよ、なぁになにもとったりしないさあとで請求もない安心するといい」

 

書いている「何か」からは一切目を離さずにのんびりと言い放った彼女

 

俺はもう考えるのがめんどくさくなって財布と携帯と筆箱を持って外へ向かう

 

「え、じゃぁ、おねがいしゃす...」

「あーい」

 

あきらめムードに入った俺に彼女は一言

 

「きみ今日から、数々の受難を経験しそうだね」

 

そういってカラカラ笑う魔女っ娘

不吉なことを言わないでほしい

 

俺は家を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

5 連・ユカリ

 

 

実は俺は昨日きたお兄ちゃん二人組にボコられていたのであった。

 

ヒカリさんが何かを言って二人を返した後、また再びやってきて俺は殴られたのであった。頬に一発と腹に二発。むしろそれだけで済んでよかったとします。

 

 

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「イツハ君、どうしたのその傷?」

「コケました」

 

コンビニの店長『連・紫』(むらじ・ユカリ)さん。

 

「あら、そうなのね。隠しカメラを見たら昨日イツハ君が男性二人に殴られていたようだけど、それとは関係ないのかしら」

 

「……」

 

「イツハくん、私だって責任があるのよ?本当のことを言って?」

 

「殴られました」

 

「正直に言ってくれてありがとう」

 

「はい」

 

「私では頼りがないかしら?」

 

「へ?」

 

「私とイツハ君ではコンビニのアルバイトとはいえ挨拶もするし関係値はできていると思っていたのだけれど……そう思っていたのは私だけだったのかしら。」

 

「えっと、どういう」

 

「もっと隠さずに頼ってほしいわ。もちろん今回のことだって連絡してくれれば駆け付けたし」

 

いや連さん女性やし呼べないよ

 

「えぇ」

 

「そんなに信用……ない?」

 

「次は必ず頼ります」

 

「ええ!いつでも頼ってね」

 

 

 

 

4 天童・ヒカリⅡ

 

彼女の名前は、天道・ヒカリ

 

一昨日(おととい)からギャルが新人として入ってきた。といっても物覚えがよく既に業務スキルでは俺を抜いている。いやほんとに。

 

ギャルといものは結構いかつかったりもっと怖いものを想像していたのだが、この天道という女性はラノベからぶっこ抜かれてきたかのように優しい。ここまで優しいとどうやって現実世界の日常をくりぬけているのか気になる。

 

実際ほかのギャルとかだともっと怖いし狡猾である。ここらへんだと駅前の裏繁華街にいくと普通にいらっしゃるし。ほら、ていうか、、、

 

「ちょっと離してよ!」

 

考えているそばからヒカリさんがコンビニの前で男性二人に絡まれている。もちろん俺は見て見ぬふりをした。

 

 

という選択が取れればどれだけ気が楽だったか。

 

 

あくまでこれは自分のため。これを無視すれば絶対に後味がわるい。必ず夜お布団で後悔する。

 

 

何より今後の彼女との業務に支障をきたす。主に俺の罪悪感で。

 

 

俺は自動ドアから出て三人に近づく。

 

 

「すみません、仕事中ですのでお引き取りを」

 

 

「あぁああ!? なんだてめぇ!!」

 

 

うっそ、こんなに柄悪いの? 見た目普通のお兄ちゃんなのに。

 

 

「舐めてんのかあぁ!?」

 

 

お兄ちゃんBの方も加勢してメンチ切ってくる。

 

 

「業務の邪魔だから帰ってよ!」

 

 

叫ぶ天童さん。

 

 

嗚呼、もっと簡単に収まると思っていたのに…

 

しかし天童さんが男二人に何かを耳打ちすると、二人は去っていった。

 

「え、えぇ…」

 

「すみません、イツハさん……お手数を」

 

「ええ……何を言ったのですか?」

 

すんなり帰ってもらう魔法の言葉があるのならぜひ俺も習得したい、ええあんな怖い思いをするのを回避できるのなら靴でも舐めますともぇえ。

 

「うふふ、ヒミツっ……」

 

「……うっす」

 

「くそが、あいつら次会ったら絶対にぶっ飛ばす」ボソ

 

え?

 

 

 

 

 

 

 

3 天童・ヒカリ

 

 

「イツハ先輩頼りになるぅ☆」

 

「はい」

 

昨日赴任したバイト先のギャルが苦手すぎる。こちとら高校から友人付き合いというスキルを落っことしてきている身だぞ。もっと労わって距離を置いてほしい。

 

「ありがとっ」

 

そう言って肩でも撫でられようものなら一瞬で血液の循環が回る。

 

「うっす」

 

「あはは!なに「うっす」って」

 

 

 

 

 

 

 

深夜の田中さんはこの少女とどう接しているのだろうか。

2 舞先・ミノル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特に何もない。

 

そんな日常のはずだった。

 

バイト先のコンビニにギャルが新任してきた。

 

それだけ。

 

 

=========

 

 

朝起きて歯を磨いてから気づいた。部屋内に魔法少女がいた。

「やあ、たまたま通りかかったらキミはどうやら恵まれているようだね。だけど慢心はよくない、だから僕がおまじないをかけていってあげよう、これで血なまぐさいことにはならないはずさ、まぁなにお礼なんかいらないよ強いて言うならお茶でも出してくれると嬉しいな」

 

そう言って勝手に入ってきて俺ん地の床になにやら指でなぞり始める魔女っ子

 

ちょっとなに言ってるのかわかんないけど最後だけわかった

 

とりあえずお茶を出せばいいのかな?

 

なにしたらいいかわからないしどこから突っ込めばいいのかわからないからとりあえず出来ることからやり始める俺

 

冷静に考えるとコワっ

魔女っ娘コスプレしたレディが俺んちに不法侵入って

なにこの状況...

相手がゴツい男性じゃないだけまだマシだけど

 

冷蔵庫から麦茶を取り出し魔女っ子の近くの机に設置

 

「どうぞ...粗茶ですが」

 

なんで俺が下手に出なければならないのか

 

「おおありがとう」

 

そして驚くべきはここからであった

彼女は左手で指をなにやら宙で描くと

なんと俺が置いたコップがふわふわと浮かび上がりフラフラと彼女の方へ向かうではないか

 

「嘘」

「んぇ?少年もしかして信じていなかったの?まぁ別に行けどね、最近では信じる人の方が珍しいくらいだし、どこか出かける途中だったんでしょう?ここは任せて行ってきていいよ、なぁになにもとったりしないさあとで請求もない安心するといい」

 

書いている「何か」からは一切目を離さずにのんびりと言い放った彼女

 

俺はもう考えるのがめんどくさくなって財布と携帯と筆箱を持って大学へ向かう

 

「え、じゃぁ、おねがいしゃす...」

「あーい」

 

あきらめムードに入った俺に彼女は一言

 

「きみ今日から、数々の受難を経験しそうだね」

 

そういってカラカラ笑う魔女っ娘

不吉なことを言わないでほしい

 

俺は家を後にする



*********



月曜の大学講義は二限だけだ

 

「久しぶり」

「うん、久しぶり……今日はなんか疲れてるみたいだね?」

「うん、ちょっと疲れた」

 

俺の超数すくない友人、

というか現状唯一の友人

舞先ミノル

中性的な顔立ちであるが男性ではない

あ、間違えた…女性ではない

本当に偶に間違える

女性ではない

男である

 

「なにかあったの?」

 

彼は大変おとなしい

それでいて人思いのいい青年だ

極度の人見知りと引っ込みじあん(事案)という個性をもつ

今回も俺の事を心配して聞いてくれる

泣ける

そして体が致命的に弱くたびたび休む。

難儀な人だ

俺はとある共通点があり彼とよくいる。

あまり校には来ないけど

 

「あぁ、なんか不法侵入者が家にいて」

「えぇ!」

 

ミノルは大きくなった声を恥じるように口に手を当てる

 

「大変なことじゃないか……」

「そうなんだけど」

 

俺は今朝の話を告げる

要約は相手があんまりにも悪意がないからほったらかしにした、だ

 

「イツハ、ダメだよ警察に通報しなきゃっ」

そういって携帯を取り出す

俺はそれを手で止める

 

「いいんだ、警察沙汰にはしたくないし」

 

男性の教師が準備ができたようで話し始める

講義が始まる合図だ

 

「イツハがいいなら……いいけど」

 

授業が終わるとミノルは食い気味に聞いてきた

 

「ってことは今日は家にいっちゃだめとか言わないよね?」

 

毎月末は定期的にミノルとワイワイするという予定が入っている


「アカン・・・今日はあかんねん、ごめん」

 

間違ってもあんな変な魔女をミノルに邂逅させるわけにはいかない


「・・・・・・了解了解」

 

その姿を見ると、俺とちゃんと話してくれる数少ない友人なのだと実感する

 

「安全そうだったらさ、今週どっかで振り返るからヨ」

「うんっ」

 

男子同士でちょっと変と思いたければ思え

おれはこれが、大変心地よいのだからそれでいい

 

校舎を出て家路へ向かう

その間キャンパスにて生神の姿を探す

生神というのは神聖な者でもなんでもなくただの同級生

 

生神アキラ

 

いろんなどうでもいいことを知っている変わり者だ

 

『クカカ、どうでもいいは余計だろ』

 

と彼がいたら言ってきそうなものである

今日はいないらしい神出鬼没であるからな・・・・・・気持ちを切り替えて歩みをすすめる

まぁ得てして大学生などそんなものである